92年に宇佐RCがスポンサークラブとなりドイツに留学されてから、その後ずっとドイツにお住まいで、現地で音楽学者として幅広く活動をされている小長久美さん。
今回のブログ開設にあたり、メールにてご連絡をいただきました。
大分にいる私にとっては、宇佐RCがスポンサークラブであったと聞いて、身近に感じお返事をさせていただきました。宇佐には親友が住んでおり、また現在かわいがっている猫が宇佐神宮で捨てられていたという縁もあり、宇佐RCというだけで、ご縁がつながったように感じてしまいました。
そんな私の一方的な思いにもかかわらず、宇佐神宮のご縁がつながり、小長さんから近況報告をいただきました。
ドイツにてご活躍の小長さんは、現在中国、韓国へのコンタクト作りにご協力いただける方をお探しです。
ご本人のご了解を得て、ここに近況報告の全文をお知らせします。
学友会の皆様、ロータリアンの皆様に読んでいただき、中国・韓国へのコンタクト作りに関して皆様のご協力をいただければと存じます。
何かございましたら、コメント欄を通してご連絡ください。
学友会員の方は、児玉まで直接ご連絡くださっても結構です。
学友会、ロータリーを通して、お手伝いができたら素敵だなと思っています。
今後もこのようにして、学友会の皆様の近況報告、そしてそこから活動の輪が、広がっていくようなそんなブログにしたいです。
以下、小長様からのメールです。
92年に奨学生としてドイツに参りましてから、音楽学者としてずっとこちらに住んでいます。私の先祖は宇佐神宮の神職にありましたので、私の本籍はドイツに行くまで宇佐にありました。宇佐を通した児玉さんとの不思議なご縁、空からの贈り物のように感じました。
ロータリー、そして学友会の活動にはずっと関心がありましたが、集まりは熊本が中心でしたし、また私が日本を訪れる時期に集まりが重なることがありませんでしたので、とても残念に思っていました。私の中でロータリーの奨学生であったことは誇りで、ロータリーの精神を引き継ぐことは私の使命と信じ、博士号取得後に本物を真摯に求める、心のある若い日本人音楽家を国境を越えて育てようと音楽アカデミーAkademie der Musik Deutschlandをミュンヘンで立ち上げました。「上手に弾くのではなく、心に響く音楽を奏でる人に」をモットーに、ミュンヘン音大のピアノ科主任と2人で始めたアカデミーが開く音楽セミナーは、今日ではドイツの主要紙や公共放送で大きく取り上げられるまでになり、今春にはバイエルン州より学校の認定を受けました。セミナー期間中には、ご支援下さる個人のお屋敷で受講生によるサロンコンサートが開かれたり、ホームステイさせて戴いたりと、受講生は一般のセミナーのようにただ演奏の勉強をするのではなく、音楽の生まれた背景、その国の人々と直接触れあうことで特別な何かを感じ、リピーターとして何度もセミナーを訪れたり、ミュンヘンへ引っ越して来たりしています。
またこの6月、私のこれまでの活動に共感下さった現旧の文部大臣ほか政治、経済、文化界の重鎮の応援を戴き、若い音楽家を支援するために公益法人を設立しました。公益法人の名前はAsia-Europe Academy of Music。この名前には、私の特別の思いを込めています。ドイツは近隣国に対して戦時中の蛮行の処理をきちんと行ってすばらしい友好関係を築き、この友好関係の重要さを毎年確認していますが、日本のお隣関係の悪さは相変わらず。私は様々なところで中国、韓国の人の優しさに触れてきましたので、お隣と仲良く出来ない日本がもどかしくてなりませんでした。そこでミュンヘンで開くマスターコースで、同じ音楽で繋がるこの3カ国の若者が、自分の目と心で相手を知り、輪を広げることを思い付きました。
私のアカデミーが開くマスターコースでは、ドイツの圧倒的名門ミュンヘン音大のピアノ科とヴァイオリン科の主任を含むトップの教授、ドレスデン国立歌劇場前総裁、オペラ指導の第一人者というそうそうたるメンバーがレッスン下さいます。アカデミーは指導下さる先生方のすばらしさの他、リピーターが非常に多いことでも有名です。そしてこのリピーター達は受講生友の会を結成し、本当の音楽で繋がる優しい仲間の輪をと、セミナーに仲間を誘い、そしてセミナー期間中には新顔のお世話やオーガナイズの手伝いをしてくれます。彼らも私が考えるアジアの輪構想に感激し、まだ学生ですが、新たな展開を応援したいと言っています。
来年のセミナーより中国、韓国の若者をミュンヘンでのセミナーに迎えられるようにと、目下、現地の音大、演奏家とのコンタクト作りを模索しています。西洋音楽の分野では今、韓国、中国の出身者が頑張っています。表現力そして情熱において大陸的に熱い彼らから元気のない日本人が学ぶことは、とても多いと感じます。言葉は違えども、ヨーロッパでは同じアジアの国の人間。同じ西洋音楽を愛する仲間として、それぞれの国から遠く離れたドイツで、自分の国で聞く様々な偏見から自由になってお互いを知り、刺激し合い、そして一緒に音楽を奏でることができるならば、小さくても何かが変わると信じます。そしてこの為に頑張り続けることが、私をこの地に送り出して下さったロータリーへの、そしてもう亡くなってしまった宇佐とハイデルベルクのロータリアンへのご恩返しだと信じています。
たった一人では多くのことは出来ません。もしもロータリーの皆様とご一緒に、アジアの輪を広げて行くことができましたら…と心から思います。中国、韓国へのコンタクト作りなど、どのような形でも応援下さる方にお心当たりがございましたら、是非ご紹介下さいませ。
公益法人の理事会メンバーには、お一人ロータリアンがいます。ドイツ、スイスの大学の教授で、ミュンヘンにある国立民族学博物館の館長を長年務められたアフリカ学の権威です。東山魁夷さんに続いて母の展覧会がこの博物館で何度か開催され、ご縁が出来ました。ロータリーとの不思議なつながりを思います。
目下、研究、講演、アカデミーの監修と並行し、公益法人へのご寄付のお願いにドイツ中を周っています。どのように些細なことでも、皆様のお知恵を戴けましたら本当に幸いでございます。
長々とお邪魔致しました。宇佐の文字が嬉し過ぎて、饒舌になってしまいました。きっとお目にかかれる日が訪れますようにと、心から思います。
お声をお掛け下さいましたことに心から感謝致しています。
猛暑の便りが届く日本、どうぞご自愛下さいませ。
小長久美
1998年第12回GSE団員 児玉由美子